ツインピークスの新シリーズ、リターン(The Return)を見終わつて、ツインピークス熱に取りつかれた私は、過去のツインピークス作品をすべて見直そうと決めました。その第一歩がツインピークスの劇場版映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』です。
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』は、「ツイン・ピークス」シーズン1の前日譚として作成されました。日本語のタイトルが「最後の7日間」となっていますが、実際にはその1年前にさかのぼるテレサバンクス殺人事件からが描かれます。
本編よりも難解かつ抽象的と言われる『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』のキャストやあらすじ、感想を紹介していきます。
目次
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』のキャスト
映画『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』は、1992年5月16日に日本で上映されました。上映時間は135分です。
監督&脚本
- 監督:デヴィッド・リンチ
- 脚本:デヴィッド・リンチ、ロバート・エンゲルス
- 製作:グレッグ・フィーンバーグ
ロバート・エンゲルスは、アメリカ生まれの作家・プロデューサー・監督で、カリフォルニア州立大学フラトン校 で脚本執筆を教えてもいます。1990-1991年にかけて、ツインピークスのテレビシリーズのシナリオを11本執筆しています。
グレッグ・フィーンバーグは、アメリカ生まれのテレビ製作者・監督です。1990年代の初めにマドンナ、マイケルジャクソンなどのミュージックビデオを手掛け、1990年にツインピークス第一シーズンの製作を行っています。
登場人物・俳優
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』に出演している主要な登場人物とその俳優は以下の通りです。
- デイル・クーパーFBI捜査官(カイル・マクラクラン)
- ローラ・パーマー (シェリル・リー)
- ゴードン・コールFBI地方捜査主任(デヴィッド・リンチ)
- フィリップ・ジェフリーズ捜査官(デヴィッド・ボウイ)
- サム・スタンレー捜査官(キーファー・サザーランド)
- ゴードン・コール捜査官(デヴィッド・リンチ)
- カール・ロッド ハリー(ディーン・スタントン)
- チェット・デズモンド捜査官(クリス・アイザック)
- リーランド・パーマー(レイ・ワイズ)
- サラ・パーマー(グレイス・ザブリスキー)
- ドナ・ヘイワード(モイラ・ケリー)
- テレサ・バンクス(パメラ・ギドリー)
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』のあらすじ(ネタバレ)
テレサ・バンクス殺人事件の捜査
ノースダコタでスクールバスの事件を扱っていたFBIのチェット・デズモンド捜査官(クリス・アイザック)は、オレゴンにいるFBI地方局主任のゴードン・コール(デヴィッド・リンチ)から連絡を受け、17歳の少女テレサ・バンクス殺人事件の捜査を指示される。
ポートランドでコールと落ち合ったデズモンド捜査官は、サム・スタンレー捜査官(キーファー・サザーランド)と引き合わされる。
コールはまた、「驚かせるもの(サプライズ)」として、捜査官にリルという名の「母の妹の娘」を紹介。赤い髪に赤いワンピース、赤い靴を身に付けたリルは、顔をしかめるなど奇妙なしぐさをしてみせる。
ディア・メドウ保安官事務所に向かう車の中で、デズモンド捜査官はリルのふるまいについて謎解きをする。
- しかめ面⇒現地の警察ともめる、歓迎されない
- 瞬き⇒上層部(保安官と助手?)とのトラブル
- 片方の手がポケット⇒彼らは何か隠している
- 片方の手が拳⇒好戦的な連中?
- 足踏み⇒足を使う捜査になる
- コールの「母の妹の娘」というコメントと顔の前に手のひらをかざすしぐさ⇒保安官の叔父が連邦刑務所にいる
- 服が違う糸で縫い直されていた⇒麻薬
- 胸の「青いバラ」⇒説明はできない
ディア・メドウ保安官事務所に到着すると、リルの暗示通り、保安官助手も保安官もFBIに非協力的。
強引に検視を始めた二人は、テレサの指輪が失われていること、爪の間に「T」が書かれた紙片が差し込まれていることを突き止める。
その後、テレサが夜勤をしていた「ハップスダイナー」に行くと、テレサがコカインを常習しており、死ぬ3日前に左腕がしびれていたというウェイトレスからの証言を得る。
捜査官たちが次に向かったのはテレサが住んでいたトレーラー・パーク。彼女のトレーラーハウスに残された写真の手元には緑色の指輪が・・・
テレサの遺体をポートランドへ送り出した後、デズモンド捜査官はひとりでトレーラー・パークに戻り、トレーラーの下で緑色の指輪を見つける。
ジェフリーズ捜査官とデズモンド捜査官の失踪
2月16日、フィラデルフィアのFBIオフィスにて、デイル・クーパーFBI捜査官(カイル・マクラクラン)が廊下の監視カメラの下とモニター室を行き来していると、フィリップ・ジェフリーズ捜査官(デヴィッド・ボウイ)が現れる。
ジェフリーズ捜査官は2年前から行方が分からなくなっていた人物。驚くコールとクーパー捜査官の前で、ジェフリーズはうわごとのように口走る。
「ジュディのことは話さない。僕らは夢の中で生きている。奴らの集会を見た」
ジェフリーズは、コンビニエンスストアと呼ばれる場所に住む奇怪な人々(ボブや小人、薄汚い男たち、白い面をかぶった人物、老婆と男の子等)の映像に取りつかれており、突如として消え失せる。
受付から、ジェフリーズは受付を通っていないこと、そして同時に、デズモンド捜査官が行方不明になったとの報告が伝えられる。
クーパー捜査官はデズモンドが消えたトレーラーパークに赴き、トレーラーハウスが留まっていた跡を見つめる。管理人のカールによれば、そこに住んでいたのはシェルフォンという老婆と男の子であり、それ以前に住んでいたのもシェルフォンであった。
乗り捨てられたデズモンドの車のフロントガラスには、「Let’s Rock(さあやろう)」という赤い文字が書かれていた。
クーパー捜査官は、事件は繰り返されるという予感を得る。
ローラ・パーマの秘密
1年後、ツインピークス。
高校生のローラー・パーマ(シェリル・リー)は、いくつもの秘密を抱えて生きている。
ボーイフレンドのボビーの他にジェームズという恋人がいること。学校のトイレでコカインを吸引するほど薬物に依存していること。ロードハウスのバーテンダー、ジャックの仲介で売春していること・・・
ある日、親友のドナ・ヘイワード(モイラ・ケリー)が「宇宙に放り出されたらゆっくり落ちていく?それとも急降下?」というのに対して、ローラは「急降下して突然燃え上がる。天使も助けてくれない。天使は行ってしまったから」とうつろな目でつぶやく。
家に帰ったローラは、自分の日記からページが破り取られているのを見つけて愕然とする。彼女はハロルドの家に駆け付け、日記を隠すよう頼む。
ローラは日記を破ったのが、ボブという謎の男、12歳の時から彼女をおもちゃにしている邪悪な人物に違いないとハロルドに訴える。
一方、FBIのクーパー捜査官は、次の犠牲者は、「金髪、高校生、性生活は乱れ麻薬を常用、助けを求めている」と推測する。
扉の絵と緑の指輪
ダイナーでデリバリーを手伝うローラの前に、突然老婆と白い仮面をつけた男の子が現れる。老婆は、「あなたの部屋に合うわ」と半開きになったドアの絵をローラに渡す。男の子は「仮面の後ろの男が破れたノートを探している。隠し部屋に向かっている。今扇風機の下だ」と囁く。ローラはおびえて走り去る。
自宅に戻ったローラは自分の部屋にボブがいるのに気づき、半狂乱で家から逃げ出す。しかし、その直後、父のリーランドが玄関から出ていくのを見る。ボブの正体はリーランドではないかと激しく取り乱す。
ローラは泣きながらドナに会いに行く。「ドナ、あなたは私の親友よね?」「親友よ、いつまでも」ドナの返事を聞いて落ち着くローラ。
父リーランドは、帰宅したローラがハートの片割れのペンダントを身に付けているのに気付くと、「お前の手は汚い。手を洗わなかった」「ペンダントは誰からもらった?ボビーか?他の男か?」と彼女を激しく責め立てる。ローラは泣きながら手を洗う。
しかし、しばらく後、リーランドは人格が入れ替わったかのように嗚咽にむせび、ローラに「愛しているよ」とやさしく接してくる。「おやすみ」を言ってリーランドが部屋から出ていくと、ローラは壁の天使の絵を見つめて「本当なの?」と囁く。
ローラは老婆からもらった扉の絵を壁に掛け、眠りにつく。夢の中に老婆や男の子が現れる。男の子が指を鳴らすとそこはブラックロッジとなり、彼女が直接出会ったことのないクーパーや赤い服を着た小人の姿がある。小人は「私は『腕』だ」と言い、手のひらで口を叩いて、音を立てる。小人は緑の指輪を取り上げる。クーパーは「指輪を取るな。ローラ」と彼女に向って警告する。
ローラがベッドから起き上がり、傍らを見ると鼻と口から血を流した娘が横たわっている。娘は口を開く。
「私はアニー。デイルやローラと一緒にいるの。善いデイルはロッジから出られない。日記にそう書いて」
ローラが一瞬目をそらすと、アニーの姿はなく、ローラの手には緑の指輪が。
朝が来て手のひらを開くと、指輪はなくなっていた。ローラは扉の絵を壁から外して机に伏せる。
ロードハウスでの出来事
レオが妻のシェリーに掃除を強要していると、ボビーから電話がかかってくる。
「ヤクが切れた。サンタを探している」というボビーに、「先にツケを払え。5000ドルだ」とはねつけて電話を切るレオ。
困ったボビーはロードハウスのジャックに電話をかけ、薬を都合してくれるように頼む。ジャックは2日後の真夜中に売人と会うように言う。
ドナが夜パーマー家を訪ねると、両親はおらず、ローラは先日とは打って変わって冷たく接してくる。
ドナを相手にせず「明日電話する」と外出したローラは、ロードハウスの前で丸太おばさんに会う。
丸太おばさんはローラの額に手を当てて話し出す。
「こういう火が燃え出すと消すのは難しい。無垢な弱い枝は真っ先に燃える。風が起こり、全ての善は危険にさらされる。」
ロードハウスのステージでは、歌姫ジュリー・クルーズが哀しい恋の歌を歌っている。ローラは歌に引き込まれ、激しく泣く。
ローラは、彼女を付けてきたドナと2人の男性とともに、カナダの怪しい雰囲気の店に移動。ジャックもそこにいる。皆酒と薬でもうろうとしている中で、ロネット・ポラスキーがローラに近づいてくる。
ローラが「片目のジャックを首になって以来ね」と言うと、ロネットは、彼女たちがそれ以外の場所でもあったことを匂わせる。さらに、テレサ・バンクスが死んで1年経つこと、テレサが金づるを見つけていたこと、誰かをゆすっていたことを話す。
バーテンのジャックは、ロネットとローラを自分の山小屋に誘う。
ローラの上着を身に付けたドナがトップレスになって男と絡み合っている。それを見たローラは怒り、ドナを連れて店を出る。
片腕の男
翌朝、ドナの家の居間で。ドナはいつ自宅に戻ったのか覚えていない。ローラは「私の服を着ないで」「わたしみたいにならないで」と言う。
ローラを迎えに来たリーランドは、ベッドでおしゃべりする下着姿のロネットとローラの姿を想起する。
マイクがローラと家に戻ろうとする途中で、片腕の男、マイクが来るまで接近してくる。ローラは、エンジンが焼ける焦げ臭いに気付く。
マイクは言う。
「コーンを盗んだな。ストアで缶詰にしたんだぞ。お嬢さん、それが開かれたときの彼女の顔、静けさがあった。フォーマイカのテーブルの様に。糸が切れるぞ、パーマーさん。あれは彼だ!あれはあんたの父親だ!」
自動車修理工に対して怒りをぶつけるリーランドは、テレサ・バンクスと出張の時にあいびきしていたことを想起する。
動揺したローラは、マイクが誰なのかリーランドに尋ねる。
リーランドはさらに、テレサの「友達」がロレッタとローラであったことを知り、衝撃を受けたことも思い出す。
ローラは、先週の昼間自宅に帰ったかとリーランドに尋ねる。リーランドは金曜日にアスピリンを取りに家に戻ったと答え、ローラーは激しくうろたえる。
自宅の部屋で、片腕の男の小指に緑色の指輪があったことを思い出すローラ。その指輪は、夢の小人が差し出したものと同じ。そしてテレサもその緑の指輪を嵌めていた。
「あなたは誰?」彼女は天井に向かって話しかける。
居間を歩き回るリーランドは、またも過去を想起している。壊れるブラウン管。悲鳴を上げるテレサ。テレサの後頭部に殴りつけるリーランド・・・
麻薬の密売と殺人
いよいよ薬が切れてきたローラは、学校でボビーに薬をねだる。ボビーはロードハウスのジャックの手引きで今夜薬ががっぽり手に入ると言う。
真夜中、木をひく音がする場所。森の中。酒と薬でハイになり、はしゃいで笑うローラとボビー。
そこへジャックの使いの男がやってくる。男が拳銃を抜くのに反応したボビーは、彼を撃ち殺す。我に返って慌てるボビー、ヒステリックに笑うローラ。
ボビーは死体を処理できず、ローラを引きずるようにしてその場から立ち去る。
ボブの正体
翌朝、心配したジェームズがパーマー家にローラを訪ねて来るが、リーランドの目を気にしたローラは彼を追い返す。
夜、自室でコカインを吸うローラ。
リーランドは寝室でミルクの入ったコップをうつろな目をしたセーラに渡す。ベッドでもうろうとするセーラは部屋の中に白い馬の幻想を見る。
ローラの部屋の窓からボブが侵入し、彼女にのしかかかる。
「あんたは誰?何者?」
野獣の様に動くボブに、なすすべもないローラ。しかし、彼女の目の前でボブの顔はリーランドのそれに変わる。絶叫するローラ。
消え去った天使
朝食のテーブルでふさぎ込むローラは、話しかけようとするリーランドに敵意に満ちた視線を向ける。
放課後、ボビーから薬をゆずってもらったローラが自室で薬を吸引しているとジェームズから電話がかかってくる。15分後に会う約束をしたローラの目の前で、壁の絵から天使が消え去る。
窓から抜け出しジェームズのバイクで去るローラ。リーランドがそれをだまって見つめていた。
ローラはジェームズとバイクで森に行くが、とりとめのないことを話したり、悲鳴を上げたりする。
彼女は言う。
「ボビーは男を殺したの・・・あなたは私を知らない。私には秘密があるの。ドナでさえ知らない。あなたのローラは消えたの」
ジェームズがバイクでローラを送る途中、赤信号でローラはバイクから降り、「愛してるわジェームズ」と言って走り去る。
ジェームズと別れたローラは、森の中でジャック、レオ、ロネットと落ち合い、ジャックの山小屋へ向かう。真っ赤な口紅を塗るローラとロネット。夜が更け、ローラは縛られて悲鳴を上げる。
覗いていたリーランドがジャックを蹴り倒し、怯えたレオは車で逃げ去る。
ローラとロネットはリーランドにつかまり、連れ去られる。片腕のマイクが彼らを追う。
捨てられた車両の中で縛られているロネットとローラ。リーランド/ボブはローラに日記を示し、私だと知っていたなと問い詰める。縛られたまま神に祈るロネットは空中に浮かぶ天使の幻影を見る。
ようやくマイクが電車に到着。ロネットは扉を開けて逃げようとするが失敗。リーランドに殴られて電車から放り出される。指輪が列車の床に音を立てて転がり、ローラはそれを指にはめる。
リーランドはボブの支配に抵抗するが、最終的には屈服し、鈍器をローラに何度も振り下ろす。血まみれで横たわるローラの首から引きちぎられるハートのペンダント。
リーランドはローラをビニールで包み、担いで川に向かう。ローラの遺体は水に浮かんで運ばれていく。
ブラックロッジのクーパーとローラ
森の中でブラックロッジに転送されるリーランドの目の前には、片腕のマイクと「腕」である小人が並んで座っている。リーランドの身体が傾いて宙に浮きあがり、分離したボブが傍らに立つ。
マイクはボブに言う。「私の痛みと悲しみを返してくれ。私の”ガルモンボジーア”を」
リーランドの腹部が血に濡れている。そに触れるボブが腕を振ると、血液がブラックロッジの床に飛び散る。
コーンを食べる口。闇の中のサルの顔。包みがはがされてあらわになる死んだローラの顔。
ブラックロッジで座るローラの肩に手をかけたクーパー捜査官は微笑んでいる。宙に浮かぶ天使に気が付くローラは、満足そうにうなずきながら微笑む。天使は両手を合わせて祈りの姿勢を取る。
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』の評価
『ツイン・ピークス~ローラ・パーマー最期の7日間』見なおした。初見時はドラマシリーズに比べて酷い出来だなと思ってたけどいやはやすみません!無茶苦茶面白い!ローラの絶望と痛みがひしひしと伝わってきたよ。復活しないかなあ。
— 山岡大祐 (@dayamaisuke) 2010年11月4日
先にローラパーマー最期の7日間を見てしまっている為に事件の顛末については解っているがドラマというのんびりとした媒体でツインピークスという街やそこに住む人々のディティールをより深く知り、事件の断片を違った角度から再追跡するのも楽しい。
— Return of Living 田中 (@CORPSE_MAN) 2010年12月4日
『ツインピークス ローラパーマー最期の7日間』観た。悪魔vs悪魔vs天使の聖戦をリンチの才能でブラッシュアップし、「父と娘の物語」に絡めて、愛と恐怖と変態を詰め込んだ最恐で最凶で最強なガールズムービー。また善悪への問いからなる人間の危うさに迫り、我々の生き方を示す怪作。 pic.twitter.com/E3Csh59uN1
— atsuki (@ay485711) 2017年7月18日
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』の感想
TVシリーズではすでにローラが死んでいたので、「結局、ローラ・パーマはどんな女の子だったのか?」ということがこの映画でよくわかります。
話自体は暗いです・・・十台の前半から謎の人物によって性的暴行を受けていたローラは、表面的には優等生でも、乱れた男性関係、薬物依存、売春・・・と様々な裏の顔を持ち、結果的に無残に殺されてしまう・・・ある意味、鬱になりそうな展開です。
しかし、見終わった後に救われた気がしました。それはおそらく、「天使」の存在でしょう。天使が現れるラストに関しては、賛否両論だったと聞きます。キリスト教的象徴なので、違和感を抱いた人も多かったのかも。私はあのラスト、好きですね。
あと、一番印象に残っているのが冒頭のコールの「母の妹の娘」リルの登場場面。「何なんだアレ?」って始めはあ然としましたね。
この場面に限らず、映画の前編にわたって、意味不明な要素がちりばめられています。
数字の6が描かれた電柱(何度も画面に現れるが、何なの?)
突如現れて消え去るジェフリーズ捜査官(コールの説明的なセリフしかなく、あまりに唐突)
行方不明になってその後なにもフォローされないデズモンド捜査官
白い仮面を付けた男の子。(祖母ともども不気味)
・・・
この映画、ロジカルな謎解きサスペンスではない、とわかっていても、暗示・象徴の意味を探したくなります。
あと、最後に触れておきたいのが、シェリル・リーの演技力。ローラの複雑なキャラクターを演じきったシェリルに拍手を贈りたいです^^
ちなみに、この映画を見てからまた第1シーズンを頭から見直すと、テレサ・バンクス事件やローラの最後の日々がしっかりと頭に入っているので、本編が2度オイシイ 笑 どうやら私もツインピークスの沼にかなりハマってしまったようですね・・・
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』の豆知識
・映画版はドナ役がテレビシリーズのララ・フリン・ボイルからモイラ・ケリーに変更になっています。正直、この映画で唯一残念なのがこのキャスティング。役が変更になった理由として「カイル・マクラクランと別れたので続編に出るのを拒否した」とか「スケジュールが合わなかった」とか諸説見かけますが・・・モイラ・ケリーが悪い女優というわけではないんですけれどね。ララ・フリン・ボイルの魅力的なドナとイメージが変わりすぎてしまったので・・・
・「青いバラ」と「ジュディ」に関しては、第3シーズンのリターンでさらなる謎解きがあります。
・リンチ監督による削除シーンの編集版「もうひとつのローラパーマー最期の7日間」という特典動画が存在します。観ることによって謎が解き明かされることはないでしょうが(笑)、ファンなら絶対に楽しめます。ボックス「ツインピークス-完全なる謎」に収録されています。