日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ(青山透子)読んだ感想

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『日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ』は、1985年8月に起こった日本航空123便墜落の真相を探るノンフィクション作品です。

単独機として史上最悪の航空機事故、実に520名が亡くなったこの事故に関しては、発生からすでに30年以上が経過しており、公式の調査自体も終了しています。それなのに、いまだにネット上には公式調査結果に対する疑問の声が存在することから、「何があるのだろうか?」と以前から気になっていました。

陰謀論的なトンデモ本も出回っている中、元日本航空のスチュワーデスの方が関係者への直接の取材を含めて書いた真面目な本、というのがこの本を選んだ理由です。

なお私が読んだのは、2010年に刊行された書籍のkindle版です。これ以降、2018年5月に改訂された最新版『日航123便墜落 疑惑のはじまり: 天空の星たちへ』も存在します。

以下、著者のプロフィールや内容のあらすじ、感想をまとめています。

著者青山透子さんのプロフィール

青山透子(あおやま とうこ)さんは、元日本航空国際線スチュワーデス(客室乗務員)であり、東京大学大学院博士課程修了、博士号も取得。

専門学校、大学講師として活動する傍ら、客室乗務員新人時代にともに働いたクルーが亡くなった日本航空123便墜落に関する取材調査を行い、その結果を書籍として発表しています。

著作

  • 日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ(『日航123便墜落 疑惑のはじまり: 天空の星たちへ』として改訂)2010年
  • 日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る  2017年
  • 日航123便墜落 遺物は真相を語る 2018年

なお、青山透子さんの公式ブログはこちらです。

「日航123便墜落―遺物は真相を語る・天空の星たちへ」公式ブログ

 

『日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ』の内容

1982年、日航機墜落事故の3年前に新人スチュワーデスとなった青木さんの初フライトは、奇しくも事故機と同じ便名の123便。

見習い搭乗員としての初フライトは緊張の連続、失敗もあった。しかし先輩搭乗員の厳しくも的確な指導や交流を通じて、プロのスチュワーデスとして成長していく。

その後国際線スチュワーデスとしてキャリアを積んでいく。

1985年8月12日、欧州行きのフライトの前日、日航の女子寮で夕食を取っていた著者は、墜落事故の報に触れる。なんとその事故機には、過去にお世話になった6人の先輩たちが乗り込んでいた。

なぜあの人たちが死ななければならなかったのか?何が事故の原因だったのか?新聞報道を追っていくうちに、不可解な、理屈に合わない調査結果・発言を知る。

・回収されたボイスレコーダーの再生前に「隔壁破壊(内的要因)が原因」とされる報道が主流となる。

・原因と言われる隔壁は、重要な証拠物であるにも関わらず、「運び出しの邪魔になる」として調査前に細かく切り刻まれてしまった

・後になされたボイスレコーダーとフライトレコーダーの分析によると、隔壁破壊(内的要因)

しかし、1985年9月6日にニューヨークタイムズ紙で「墜落事故の原因は1976年のしりもち事故後の修理不備」の可能性が報じられ、事故原因はボーイング社の修理ミスであるとする説が主流となった。

1988年12月1日、群馬県警特別捜査本部は、業務上過失致死傷の疑いで、日航12名、運輸省4名、ボーイング社4名、計20名を書類送検。

しかし、1989年11月22日、前述の20名に加えて、遺族から告訴・告発された首脳らを含め全員が不起訴となる。

520名が命を失った史上最悪の航空機事故は、誰一人として罪を問われぬまま、1990年に時効となった・・・

時は流れ、2001年1月・・・事故後に日本航空を去り、教育者として専門学校や大学で講義を行っていた著者は、ふとしたきっかけから16年前の航空機事故を想起する。

事故で亡くなった先輩のことを自分だけの思い出にしてはいけない。

そんな使命感にかられた彼女は、再びこの事故と向き合う決意をする。

そして、航空業界事情に関する講義の中で、学生たちにあの事故に関するレポートを課題として出す。

事故のことをほぼ知らない、完全に第三者である学生たちがリサーチした結果は授業で発表され、新たな真実が浮き彫りにされていく・・・

『日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ』の感想

これは単なる事故原因の謎解き、調査ではありません。自分の生涯のミッションを追求していく人の話です。

私自身は日本航空123便墜落の謎に対する興味からこの本を読み始めました。しかしすぐに、著者、青山さんの真相究明にかける信念に胸が熱くなり、一気に読み通しました。

墜落の真相に関しては、まだ具体的なことはわかっていません。そもそも、断定するほどの物的証拠もないのです。

しかし、それにしても、この事故(いや事件?)には、素人の私でも首をかしげたくなるような矛盾点がいくつもあります。

・生存者の証言や写真から「隔壁破壊(内的要因)が原因」とは考えられないのに、それが墜落の原因と断定されたのはなぜ?。

・なぜ墜落便の乗客・乗員は、15時間も放置されたのか?2時間後にすでに墜落現場が特定されたとの米軍パイロットの証言、現場上空を旋回するヘリの目撃証言もあるのに・・・

・当時の総理大臣中曽根氏は、史上最悪の航空機事故で、しかも墜落現場が自分の選挙区でもあったのに、現場を訪れることなく、人間ドックに入り、その後軽井沢に静養に行っている。何が一国の代表にそこまで無責任な行動を取らせたのか?

・一部の被害者の遺体がまるで二度焼きされたかのように炭化しているのはなぜか?航空機の燃料ではそこまで徹底的に燃えるはずがない。

これは巷によくあるような論理が飛躍したトンデモ本ではないので、著者は慎重に断定を避けていますが、注意深く読めば一般人の想像を超えた日本の闇が見え隠れします・・・正直、恐ろしいです。でも、目をそらしてはいけないですね。

次作の『日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』も昨日手に入れたので、近いうちに感想を書きたいと思います。

 

 

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