これは、スマホゲーム「Fate/GrandOrder」の1.5部「伝承地底世界アガルタ」に出てくるサーヴァント「エルドラドのバーサーカー」の真名について、あれこれネタバレしている記事です。
サーヴァントとしての「エルドラドのバーサーカー」のステータスとか評価とかは一切含みません。
ギリシャ神話好きの管理人が延々と攻略の助けにならない蘊蓄を垂れ流すだけですので、どうぞご注意ください。
目次
エルドラドのバーサーカーの真名
上記は、1.5部「伝承地底世界アガルタ」の開始の前日に発表されたイラストとデータです。
ヒントは、
・女戦士の女王である。
・■■■■■。ひとたび『それ』に触れたら狂化する、らしい。
・エルドラドという言葉と関係がある。
子供のころからギリシャ神話大好き女子だった私は以下のように予想しました。
「女戦士」、「エルドラド」というキーワードから連想されるのは、「アマゾン」。
これは間違いなさそうです。
彼女はアマゾンの女王ということになります。
アマゾンの女王で有名どころと言えば、
ヒッポリュテー
ペンテシレイア
のどちらかでしょう。
鍵は、■■■■■にありそうでした。
このアマゾンの女王が狂化する要素・・・と言えば、彼女が深い恨みを持っている相手でしょう。
ヒッポリュテーは、女神ヘラのはかりごとによって、ヘラクレスに殺されています。
また、ペンテシレイアは、トロヤ戦争でアキレウスに殺されています。
で、トリッキーなことに、ヘラクレスも、アキレウスもどちらも5文字なので■■■■■に当てはまるんですね 笑
で、実際に蓋を開けてみたら・・・
エルドラドのバーサーカーの真名は、ズバリ、ペンテシレイアでした!
実は、ゲームの前半では、ヘラクレスが現れると狂化していたので、一瞬、「ヒッポリュテー」かなと思ったのですが・・・
実際は、「ギリシャの英雄」を見るとだれでもアキレウスに見えてしまい、バーサーカー化する、ということでした。
ペンテシレイアとギリシャ神話
じゃあ、ペンテシレイアはなぜ狂化するほどアキレウスを憎んでいたのか?
アキレウスとの間に何があったのか?という点です。
ペンテシレイアとアキレウスが戦ったのは、ホメロスの叙事詩「イーリアス」で名高い「トロイア戦争」末期のこと。
トロイア戦争の始まり
トロイア戦争は小アジアに存在した王国トロイアとペロポネソス半島の都市国家連合(ギリシャ人たち)との10年間に渡る闘いです。
トロイア戦争の発端は、ギリシャ都市国家スパルタの王メネラーオスの妃ヘレネーをトロイア王子パリスが略奪したことだと言われています。
ヘレネーの夫であるメネラーオスは、兄でミュケーナイの王であるアガメムノーン、そしてイタケーの王であったオデュッセウスとともにトロイアに赴いてヘレネーの引き渡しを求めます。 しかし、パリスがヘレネーを戻すことを拒否したために、アガメムノーン、メネラーオス、オデュッセウスが中心となり、ヘレネー奪還とトロイア懲罰の遠征軍を組織しました。
ここで、「なんでそんな美女ひとりのために戦争」という疑問が生じますが・・・
「イーリアス」以前を描いた古代ギリシャの叙事詩「キュプリア」によれば、ギリシャの主神ゼウスが大地の負担を軽くしようと戦争によって人口を減らすことを決断したというのが前提としてあったようです。
ゼウス:人間の人口が増えすぎたなぁ・・・どうしたものか。
おーい、秩序の女神テミスよ。
人間の数を減らすために何か妙案はないか?
テミス:それでは、大きな戦争を引き起こしてはいかがでしょう?
というやり取りがあったのかどうかわかりませんが、とにかく、大きな戦争を起こすことが神々によって定められてしまいました。
さて、妻をさらわれたメネラーオスの兄のアガメムノーンは、ギリシャ都市国家の中でも実力者だったので、指導者として他のギリシャの王や戦士を招集して、大軍を率いてトロイアに攻め込みます。
このギリシャ軍の中に、英雄の誉れの高いアキレウスと友人のパトロクロスも含まれていました。
トロイア戦争の最後の一年
で、大いに端折りますが、トロイア戦争が始まって9年間が過ぎます。
(ここからホメロスの「イーリアス」が始まります。)
闘いは完全に泥沼化しています。
しかし、最後の一年にギリシャ軍内部で内紛が起こります。
簡単に説明すると、
指導者のアガメムノーンが、アキレウスの女奴隷(捕虜)を、自分によこせ!と要求し、そこでアキレウスがぶち切れ、部下を連れて引き上げてしまうんです。
アキレウスが最前線を離れてから、トロイアの城壁の外に陣取ったギリシャ軍とトロイア軍との間で激しい戦闘が何度も行われ、アキレウスの親友であったパトロクロスがトロイア軍に討たれてしまいます。
パトロクロスを負かしたのは、パリスの兄でトロイアの王子ヘクトール。
パトロクロスの死を知ったアキレウスは嘆き悲しみ、復讐を誓います。
そして、ヘクトールとの一騎打ちとなります。
ヘクトールはアキレウスから逃げ回って、トロイアの街の周りを三度回りますが、最終的に、神々の意志により、ヘクトールはアキレウスに討たれます。
アキレウスはヘクトールの鎧を剥ぎ、戦車の後ろに遺体をつなげて引きずり回します。それほどまでに彼の怒りは激しかったのです。
ペンテシレイアの登場
ペンテシレイアはこの後、トロイア軍の援軍として戦いに参加します。
(ちなみに、ホメロスの「イーリアス」は、ヘクトールの死とその後の葬儀までしか描かれておらず、ペンテシレイアの闘いはその一部ではありません。)
ペンテシレイアは軍神アレースの娘でヘラクレスに殺されたヒッポリュテーの姉でもありました。
ペンテシレイアはトロイア勢に、アキレウスを倒してギリシャ軍の船団に火をつけることを約束します。
しかし、アキレウスと一騎打ちを挑んだペンテシレイアは、アキレウスに傷つけられ、命乞いをする間もなく、打ち取られてしまいます。
アキレウスが死んだペンテシレイアの兜を剥いだ途端、ペンテシレイアの顔の美しさに彼女を殺したことを後悔します。
これが、ペンテシレイアが狂化した原因となる元の出来事。
客観的に考えてみると、
そもそも彼女の顔は覆われていたので、実際に兜を外して顔を見てみて、
「えっ!こんな美女だったのか!」
とアキレウスが呟いたこととは、必ずしも彼女を戦士として認めていないということではないと思うのですが・・・
まぁ、人の恨みって、論理的なものじゃないですからね。
今後の展開として、アキレウスがサーヴァントとして実装されてしまい、カルデアの廊下ですれ違って、大変なことになるエピソードがあったりして・・・
と、想像が膨らみます^^
ペンテシレイアを描いた作品
陶器
アマゾンの女王ペンテシレイアを描いた作品をいくつか挙げておきましょう。
まず、こちら、アキレウスの剣で絶命するペンテシレイア (赤絵のギリシア陶器)
画像引用元:https://de.wikipedia.org/
そしてこちら、ペンテシレイアを殺害するアキレウス (黒絵のギリシア陶器)
画像引用元:http://www.britishmuseum.org/
文学
イリアム
オリュンポス 上下
著者:ダン・シモンズ
火星(!?)に存在するオリュンポス山、神々と闘うギリシャ英雄たち、木星の衛星系に住む半生物機械・・・ギリシャ神話をモチーフとした大長編SF小説。
ペンテシレイアに一目ぼれするアキレウスも登場します。
太陽神の乙女 (ファイアーブランド・シリーズ)
著者:マリオン・ジマー ブラッドリー
トロイアの王女、悲劇の預言者カッサンドラの視点から見たトロイ戦争。
有能なアマゾンのリーダーとしてのペンテシレイアも登場します。